
学会プログラム


庵本 直矢 氏
名古屋市立大学医学部附属
リハビリテーション病院
【略歴】
徳島県出身、2013年作業療法士免許取得後、名古屋市総合リハビリテーションセンター入職。身体障害領域における回復期や生活期の方に対する作業療法を中心に臨床に従事。とりわけ、脳卒中後の上肢機能障害に対するアプローチや脳画像研究、予後予測研究に取り組まれている。
講師
教育講演 1
Brain-Machine Interfaceの
展望と作業療法士の役割
【講師よりコメント】
昨今,リハビリテーション業界にBrain-Machine Interface(以下,BMI)の技術が浸透してきており,脳卒中治療ガイドライン2021(改定2025)においては,Brain-computer Interface(BCI)を応用した上肢機能訓練を行うことは妥当である(推奨度B,エビデンスレベル高)と位置付けられた.BMIの特徴として,運動イメージ時の生体信号(脳波)を読み取り,リアルタイムにフィードバック(主に体性感覚)を提供できる点が挙げられる.これにより誤差情報が生じることで運動学習が促される.また,BMIを用いた介入(以下,BMIトレーニング)による脳の可塑的変化が報告されていることも,運動学習理論に基づく介入であると考えられる.
しかし,BMIトレーニングはすべての対象者に一様に有効とは限らない.Brunnerら(2024)は,皮質脊髄路の損傷程度が大きい場合には有効性が限定される可能性を報告しており,Wuら(2021)は,初期の運動障害の程度や失語症の有無,痙縮の程度が回復に影響を与えることを示している.また,Liら(2025)は,亜急性期および生活期のいずれにおいても有効性が示される一方で,一定の介入量の担保が必要と報告している.これらの知見から,療法士が一定の適応基準を把握し,適切な方法でBMIトレーニングを提供することが求められる.また,介入中の療法士の役割として,運動学習に基づくフィードバックや適切な課題設定,認知負荷や疲労度に留意した環境調整が重要である.
以上より,BMIトレーニングはエビデンスが確立された手法である一方,臨床における療法士の関与によって有効性に差異が生じる可能性がある.本講演では,BMIトレーニングの臨床的活用方法と作業療法士の役割,ならびに今後の展開について述べる.
